場所は、群馬県みどり市大間々町
渡良瀬渓谷に面し、山々に囲まれた敷地面積は、およそ5,000坪。
敷地内には、湧き水があり、またナラ、樫、栗などの広葉樹が立ち並び、そこでクライアントの親子は、子供たちのためにブランコなどを製作したり、自家用のショベルカーを駆使して池をつくり湧き水を引いていたりと、暇をもてあそぶ事はない。
渓谷の音、そして山と渓谷の間をぬって走っている『わたらせ渓谷鐡道』のクラッシックな車両が時折木々の間から垣間見ることができる。
外観イメージ
〜自然に調和した家〜
クライアントは当初、ログハウスを希望していた。計画を進めるにあたって、大きな窓(開口)を設けたいという希望していたがログにはその点で制限があった。そして在来工法になったという経緯がある。
スタイルはシンプルモダン。外観の写真の通り、背後にそびえる山々に自然に調和したデザイン。
外部は焼杉(杉の表面を焼いて磨き上げたもの)の羽目板を4方に張り、レッドシダーでくみ上げたバルコニーが家にアクセントをもたらしている。
内観
1F
建物は3層になっており、1Fはパークペースと作業台がおかれ、オーダーメードによる暖炉がある。壁には大小の斧などのDIYの工具が飾られていて、まさしく『工房』となっている。ガレージ用のシャッターは強化ガラス製のスライダーになっており視界はすこぶる良い。
暖炉は『火を見られるように』とワンオフで作られた『仕組み』によってワイヤーで吊り上げる事もでき、メンテナンスはとても楽になっている。その周りで腰掛けるには、やはり手製の椅子に座ることになる。流木などを利用している為、丸みを帯びていて心地良い。
2F
靴を階段下で脱ぎ、まっすぐ伸びた勾配のゆるいストリップ階段を登ると、広いリビングに行き着く。無塗装の床や壁。そして天井に幾度も交差する梁からは化学的な匂いは一切しない。キッチンはトーヨーキッチンのステンレストップ。リビングにはブラックアウトされたシャープのAQUOS液晶TV、そしてル・コルビジェのシェーズロング。
これらのモダンなデザインのMONOたちが絶妙に調和している。
開口はとても広くとっており、終日陽が入る。
また暖炉で暖められた煙突のお陰で床暖房のような暖かさがある。
3F
さらに階段を登れば屋根なりの勾配をもった天井のあるロフトがこの家の終点になっている。天井には星空を眺める事ができる煙突形状の天窓がある。窓からは1Fでは見ることの出来なかった渡良瀬渓谷を見ることが出来、初めてきた人は一様に『わぁ〜』とおもわず歓喜の声が出ることだろう。
東京に居を構えるクライアントは年に60日ほど行き来している。
情報が目から入ってくるこの時代に、ここに来て目を閉じれば、
夏場は渓谷の音、鳥のさえずり、冬は暖炉で燃える蒔きがパチパチとなる。
そして身体は木の香りに満たされ、酷使した我が目を休ませることが出来るだろう。
私は5月頃、敷地内のバーべキューエリアに招待される事を今から願っている。