場所は新宿区北新宿。青梅街道から数年前に延長された職安通りの北側に位置している。夕方になると新都心のビルの夜景を天高く見上げる事ができる。
この辺りは、利便性が良いため共同住宅が次々に新築され、また空地はコインパーキングとして整備され街の活性化が進んでいる。しかし、まだまだ古い住宅も多く立ち並んでいる。路地を入れば道幅も狭く住宅の隣棟間隔はほとんどない。
新旧混在するこの場所で住宅の再生(Regenerate)を手掛けた。
クライアントは、不動産全般を扱うブリスアセットパートナーズ株式会社 様。
建物は木造2階建て。写真のように店舗兼住宅であった。築年数はおよそ50年経っている。大改造するにあたって今回の用途は本社オフイス。
スクラップ&ビルドと言った従来の発想ではなく再生の依頼を受けた。
柱、梁、土台のほとんどを生かした(一部交換や補強あり)が床・壁・天井・外壁のほとんどは取り壊して新設した。またサッシについては製作窓として不要な箇所については思い切って塞ぐ事にした。こうする事でワークスペースが広がり、壁面を広く見せる効果が得られた。階段室は撤去して鉄骨階段を入り口付近に設けた。
建具類は造作し、壁面にシナ合板の木地を交互に変えて市松模様に工夫した。
完成した建物内に改造前の面影は一つも見当たらない。しかし一歩外を出て外周を見渡すと2階の塞いだ戸袋などを見るとこの建物が新築ではない事が分かる。
今後、人口の減少により新築住宅が減りつつあるだろうと言われている。その一方で増え続けている空き家となった住宅。ついに国土交通省も動きだし、既存住宅流通・リフォーム推進事業の概算要求が出されている。
いまその再利用の仕方に注目が集まっている。