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天然杉のテーブル製作
[ 2009年4月21日 ]
 今年の1月、昔の同僚で株式会社セリオの吉田氏と久しぶりに新橋で会食をした。
 この会食は、以前吉田氏とランチをしている時、『是非、紹介したいお店があるんです!』とのお誘いが実現したものだった。訪れたのは西新橋にある『てんぷら逢坂』。

 オーナーの大坂さんは、私と偶然同じ年の昭和42年生まれ。予約されたカウンター席以外は既に満席状態。お客さん同士の会話とは別にてんぷらを揚げている音が空いたお腹に響き、食欲が湧いてきた。おすすめの白ワインとお任せでお願いした極上の『てんぷら』を食べながら、会話は吉田氏との二人から自然とカウンターを挟んで大坂さんが加わり3人で盛り上がった。
 吉田氏がリコメンドした通り、素材にこだわり美味しいものを欲しているお客様に対し真剣に応えようとする姿。誰もが至福の時間を手に入れて帰ることが出来る。私もその一人になる事が出来た。

 数日後、吉田氏からメールが届いた。内容は、てんぷら逢坂さんがテーブルを新規に入れ替えしたいとの内容だった。話を聞いてみると4人掛けで少し幅広のもの。

photo 素材は任せていただいた。当社では以前からケヤキ、ヒバ、スギ、ヒノキなどでダイニングテーブルや座卓等を製作販売しているので、倉庫はちょっとした宝の山になっている。

 ぱっと思いつくのは、ヒノキであるが、全面改装とは異なり入れ替えたテーブルが妙に浮いてしまっても具合が悪い。また、変に着色したくはないのでなるべく木地の色合いを表現したい。お店の雰囲気からしてヒバやヒノキの白さがどうにも気になりそうだった。

photo ある晴れた日に、倉庫の材を引き出してもらった。
 材木は、風通しの良い屋内であれば何年でも保管する事ができる。さらに乾燥も進み割れや反りなどが起きにくくなっていく。長いものでは10年以上寝かせているものもある。社内で検討した結果、今回は国産のスギで選ぶ事とした。

photo 養生で包んである板を一枚一枚立てかけてみては、寸法と割れや反り具合を見ていった。合計6枚の板を並べてみて仕上がった時のイメージを思いながら選らんだものが左の写真のモノ。ほぼ木の芯の付近でとっており木目はいたって素直。節は無く白と赤身の通りも真っ直ぐの板である。眺めては腕を組みながら『う〜ん・・どうかな?』 と独り言をつぶやいていた。

 第一印象とインスピレーションに重点を置き、建具屋さんの最終判断で合格をもらい製作に取り掛かった。

 2週間後、一枚の板がテーブルとなって会社に戻ってきた。
 仕上げの塗装では板の切れ端をサンプルとして差し出し、実際の木地でいくつかテストをしてみる事にした。極力自然素材の塗料を使いたかったが、油シミを考慮してウレタン系の塗装をつや消しで仕上げてもらった。さらに塗装臭を飛ばす為、作業場で一週間保管し匂いは完全に消えた。ちなみにテーブルの足は同じくスギの磨き丸太を採用している。
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 3月、テーブルを無事納入した。真新しいが色合いも程よく馴染んでいるようでほっとした。ランチの前に搬入できたので、そのまま会社のスタッフ3人でランチを食べた。11時半で既に満席になり、5人ほどが並んでいた。カウンターに座って食べたが、背後の納めたばかりのテーブルで食事を摂っているお客さんの事がとても気になった。

 およそ10年その天然スギは倉庫で保管され、いま大勢の人々の至福の時間を演出する脇役として日の目を浴びた瞬間であった。

てんぷら逢坂 港区西新橋2-13-16 03-3504-1555
株式会社セリオ(http://www.serio-web.com/)