秋晴れの10月初旬、東京都を産地とする木材を視察するため多摩木材センター協同組合(日の出町)を訪ねた。秋川街道沿いに広がる敷地には山から切り出した原木が種類と寸法ごとに並べられていた。東京都のあきる野市エリアで摂れる木を総称して多摩産材と呼ばれている。ただし全てがそうではなく、山の所有者、生産者、原木市場、製材業者が登録業者として認定されており、そこから出荷された木材が多摩産材として認証を受けている。
当日は製材業をされている有限会社沖倉製材所の沖倉社長に一通りの案内をして頂いた。
原木の末口には、当地で切り出された旨のスタンプが押されているので誰でも確認する事が容易になっている。説明の中で『杉や檜の成木を切り出すだけでは無く、そのあとに苗木を植える事によって植林をきちっと管理していく』という話がとても印象的に残った。
原木市場には杉、檜、サワラ、ケヤキなどが並べられていた。
その後、製材行程を見学する為に(有)沖倉製材所さんへ移動をした。
広大な敷地内では、自動カンナの音が鳴り響いていた。
皮むき、木取り、製材、乾燥室と一連の作業工程を見せていただいた。
出来上がった柱、フロアは厳しく検品を受けて、抜けた節には埋木をして仕上げ、最後に刻印を押す。あたりには檜の香りがとても気持ちが良く漂っていた。
多摩産材は全国的な知名度としては、まだまだだと思う。冒頭に述べたとおり流通量とそれに伴うプレミアムコストからである。しかしながら東京に住んでいる者として、ましてや木を扱う材木業者として認識不足であった事を改めて反省をしている。戦後、全国的に植林がなされた。地方の山道を走れば杉や檜の山々を見ない事はない。しかしながら、外国産材の普及により成長した木材の多くが切り出される事無く放置され花粉を飛ばしている。
生命をもつ木だからこそ自然界に、というか人間界に存在を気付いて欲しいが為のメッセージなのかもしれない。近年の住宅の多くが内壁をクロス仕上げになっており木肌は見る事が出来ない。まな板や箸までプラスチックになってしまうと皆無である。構造材で使わないまでもカウンターやデッキ材など少しの予算で充分に使用が可能だ。普及者として今後もアピールしていきたい。
地産地消=日本の家は木で出来ている。
Special thanks!
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<おまけの話> 製材工場を見学中にモミの大木(樹齢80年)をマンガに出てきそうな巨大なノコギリで木を挽いている方に遭遇した。 聞けば東京では唯一の人という。 という訳で腰を入れて少しだけ挽かせて頂きました。(汗) |