杉といえば秋田杉(秋田県)、吉野杉(奈良県)までは出てくる。もう一つは・・・
高知県の魚梁瀬杉(やなせすぎ)であるそうだ。なぜこの話を・・と言うと、当社HP上で、すでに紹介をしている虎ノ門の『てんぷら逢坂』さんの無垢カウンター探しをしているときに、縁があってめぐり合った見事な一枚板があった。
木通りも良く10年以上自然乾燥されている長さ4メートルの幅広板。
それが魚梁瀬杉であった。
材木屋の後継者として継いだ私は、恥ずかしながらこの杉の名前を知らなかった。別名『土佐杉』とも言われ江戸時代より朝廷への奉納や幕府に献上されていたそうである。
と言う訳でこの魚梁瀬杉のルーツを知りたく高知県まで訪ねることにした。
場所は高知県馬路村魚梁瀬地区。
四国地方自体行くのが初めての私は交通手段として選んだのは車での自走であった。飛行機であれば半日の行程だろうが四国までの道のりと本州から橋を渡って入りたいという願望が強くなるが、付き合ってくれそうな人も居なかったので、私一人この旅を無理やり計画した。
一日目(走行距離600km)
会社(東京都東村山市)〜比叡山延暦寺経由〜大阪市内
朝7時に旅の安全を神棚に祈り会社を出発。
入間ICから外環道〜中央道〜東名高速と乗り継いだ。平日の道路は貨物を載せた長距離トラックばかり。普段事務所には引切り無しに荷物が届く。建材メーカーの多くが大阪や名古屋に拠点を持っている為、関西地区からの便は当たり前のように眼にしていたが、あらためてこうして自走してみるとその苦労を実感した。彼らは毎日往復しているのだから。
ナビゲーションにまず設定したのは、滋賀県と京都の県境に位置する比叡山延暦寺。
世界文化遺産を目指した。この旅の目的とは離れるが、道中各地の文化や自然にゆっくりと触れて見たかったからである。
比叡山は滋賀県の琵琶湖大橋から奥比叡ドライブウエイのアクセスを選び、琵琶湖を望む美しい景色と薄っすら紅葉した林道を見ながら走っていった。
PM3時に延暦寺根本中堂(国宝)、大講堂(重要文化財)に到着。
国宝である根本本道内にある宝前には1200年の間、灯り続ける『不滅の法灯』に息をのんだ。観光客もこの時間では少なく、静寂な空気と天台密教の拠点という神秘な雰囲気を味わう事が出来た。
時計を見れば午後4時を過ぎるところだ。陽は傾き、影が長くなる。観光客が時より大きな鐘を鳴らすと山の木々に響き渡り空気がヒンヤリとし始めた。
夕陽に向かうように車をすすめ、その夜は大阪市内で身体を休める事にした。
2日目(走行距離360km)
大阪市内〜さぬきうどん経由〜高知県高知市
二日目の朝もとても良く晴れた。昨日朝から乗った車の車内にはガムのゴミや有料道路などの案内MAPが散乱していた。昨晩は暗がりで車を降りたのでそのままになっていたのだろう。軽く車内を片付けて、フロントウインドウにこびり付いた虫汚れを落としてエンジンをかけた。
大阪市内から高速に乗り淡路島を目指す。本日最初の目的地は香川県高松市。
せっかく四国に行くのであれば、本場の讃岐うどんを食べなければ後悔しそうなので寄り道する事にしたのだ。
大阪〜神戸間はかなり渋滞していたが、西に進むにつれて車の数も少なくなっていった。
垂水ジャンクションから神戸淡路鳴門自動車道に入るとやがて明石海峡大橋が見えてきた。東京のレインボーブリッジや横浜のベイブリッジとも違う美しい橋だ。
橋を渡るとまず淡路島に入る。
阪神淡路大震災では震源地としてされ当時の被害はニュースで観ていたが、高速道から観るからに山に囲まれた美しい景色だ。また、この島を縦断する高速道で端から端まで約一時間を要した。そこから大鳴門橋を渡り生まれて初めて四国入りした。海も穏やかで太陽が眩しかった。高松自動車道をひた走り高松市で高速をおりて市内を走る。うわさ通りガソリンスタンドよりうどん屋さんは多い様に感じた。ネットで探した人気店で讃岐うどんを堪能したところで再び高速にのる。高松自動車道〜高知自動車道と経由して今度は南へ進路をかえる。何度か休憩を取りながら午後3時。
結果的に今回の旅で最南端になった高知県高知市 桂浜に到着。
坂本竜馬の銅像が海を眺めているところである。黒潮のイメージどおり海は荒々しかった。高知市内は高知城や はりまや橋 が有名な港町。
名物『かつおのたたき』はその夜に味わった。
東京を出発して2日目。オドメータは970キロ。
(つづく)