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夏山に登る2008年
[ 2008年7月27日 ]
photo 東の空が朝焼けで美しい5時。
 ステーションワゴンのカーゴルームにはランタンや折りたたみの椅子、コールマンのガスコンロ、そして息子と私の登山靴。近所迷惑にならない程度にユルユルと自宅を出発した。後部座席では息子が昨夜からの眠りの延長に就いている。
 目指すは栃木県那須岳。日本百名山の一つで標高は1915m。昨年登った蓼科山の林間コースとは違い、道は溶岩石による坊主頭の様だと聞いている。
 所沢ICから外環道〜東北自動車道に入り一路那須ICへむかった。土曜日の早朝は車量も少なくアクセルを強く踏み込んでも道を阻む車はほとんど無いが、昨今のガソリン高騰により、フロントディスプイに表示される平均燃費が気になり、時速110kmでクルーズコントロールをセット。3つの車線の真ん中をひた走った。
 鬼怒川を渡ると景色は緑の濃い東北道特有の林間の景色が続く。7時半頃ICを降りると平均燃費は12.5km/L。
 輸入車の割には立派!とニンマリ。そこからは那須高原の洒落たレストランなどがロードサイドに点在し、ついついキョロキョロしてしまいそうになる。小さな発見としては、セブンイレブンなどのコンビニエンスストアやガストなどのファミリーレストランの看板が『茶色と白の2色組み合わせ』によるもので統一されていた。派手な色使いの看板を廃しリゾート景観を重視した街づくりに敬服した。
 後部座席では未だ寝ている息子を無性に起こしたくなる瞬間だった。

photo 道は那須岳に向かって登り道になりボルケーノハイウェイに入るとますます勾配がきつくなってきた。すでに標高は1,000mを越え、時折下界の美しい景色を見ることが出来る。一緒に登る仲間たちとは那須ロープウェイ乗り場駐車場となっている。山頂途中で仲間のハマーH1に追いついた頃、駐車場に到着。懐かしい顔が笑顔で手を振っていた。
 集合時間は8時30分となっていたが、8時ちょうどに到着。5分もしないうちに昔の仲間たちが集まってきた。レインウェアと着替え、水とスポーツドリンク合計2リットル。
 そして食料を詰め込み一旦ロープウェイで茶臼岳の9合目まで上がる。
 20分ごとに出ているロープウェイはハイキング客で一杯だった。

photo 今日のコースは、茶臼岳を回りこむように30分ほど歩き1,730mの牛ヶ首が第一ポイント。さらに尾根伝いを歩き峰の茶屋避難小屋〜朝日岳1,896mを制覇。さらに一旦戻りながら茶臼岳1,915mがゴールとなる。
 道は火山岩特有のゴツゴツした感じと細かく砕かれた砂が足を滑らす。
 天候は曇り空。時より重たそうな積乱雲の卵が東の峰にぶつかって停滞している。
 坊主頭のような山裾は、日除けが全く無く快晴でなくて本当に良かった。
 それでも相当な日焼けは覚悟するようだろう。息子の首周りにもしっかりと日焼け止めクリームをしっかり塗った。
photo 茶臼岳は、所々で噴煙(水蒸気)をあげていた。そのまわりには黄色い硫黄で覆われておりその煙は、沸騰したヤカンからでる水蒸気と同じくらい熱いものだった。
 今でもこうして歩いているすぐ下で、グツグツと煮えたぎるマグマを想像した。
 尾根伝いの道は比較的勾配も緩く、初心者でも軽装で途中までは歩けるだろう。すでにリュックを背負う背中は汗で冷たく濡れていた。
 休憩をしながら登り続けること1時間。茶臼岳の裏側にまわり朝日岳を目指す。岩の大きさもだんだん大きくなり両手を使いながら時より大股で登る。次第に息も上がりだし、『よっこいしょ!』声を出し、自分なりにリズムを作りながら登り続けた。すぐ前を歩く長男はそんな私をよそ目にどんどん上がっていった。

photo 頂上からすでに下山している人とすれ違う際、
 『 こんにちは!』 と大きな声で挨拶をする。
 それはどちらが先にするかはこの際どうでもよい事。苦しい中でも笑顔を見せながらすれ違う。ときより『 がんばって!もうすぐだよ!』 とかかる声に力をもらいながら頂上を目指した。ロープウェイ山頂から休憩を重ねながら90分程で朝日岳頂上を制覇した。
 すばらしい絶景をと思ったが厚い雲が掛かっていてさらにハエのような虫の大群がいていそいそと、次の山である茶臼岳山頂を目指す事にした。


 茶臼岳頂上を目指すには朝日岳から一旦登ってきた道を戻り山裾に戻らなければならない。
photo 我々は、その山裾にある避雷小屋にて昼食を摂った。こんなときに食べるものはとにかくご馳走に思えるものだ。30分ほどそこに滞在していると急に風が強くなってきて、山に詳しくない私でも天気が変わる気配に気付いた。一行はすぐに荷物をまとめて茶臼岳を登り始めた。茶臼岳はとんがり帽子のような明確な頂上がわかりづらい。大きな火口跡があるからだ。ところどころ水蒸気や硫黄の匂いがするが火口自体は大きなクレーター状と化しており少し離れてみるとその雄大さがわかる。
 ここでも、原因不明な虫たちの大群がいて落ち着いていられなかったのが残念だった。
 程なくして下山しだす。下り道は膝をイジメていく。細かな砂利道は歩くたびに10センチずつ下にずれながら進んでいく。重心をお尻の方に持っていくと滑って転びそうになるので、体重を掛けて若干速いスピードで歩いていくコツもつかんだ。

photo ロープウェイ乗り場までおよそ40分。ほぼ真っ直ぐなコースな為、一気に降りる事ができた。復路のロープウェイに乗り、駐車場のもどり山を見上げればその達成感があふれてきた。大人料金630円の古びた温泉に浸かると、学生時代、山形県月山で行われたスキー部夏合宿の光景が甦る。その後、我々はオートキャンプ場で肉を焼き、酒を飲み交わし夜が更けるまで話は尽きなかった。いつまで一緒に付いて来てくれるかわからないが12歳の息子の思い出として残ってくれればと思う一日だった。