先週の週末、大学時代のスキー部仲間と長野県にある蓼科山に登った。
ハイキング程度ならするが、山登りは、初めての経験であった。
蓼科山は、日本100名山の一つで標高は2530メートル。山頂付近までは、針葉樹に囲まれた大小のごつごつとした石ころの沢道をひたすら登っていく。5年生の長男を連れていったが、父親の心配をよそにテクテクと登っていった。途中バテるのではと心配をしていたが、最後までペースを崩さず上りきってしまった。
そもそも、この登山は後輩からのメールによる誘いに感化されたものである。とりあえず、LL・BEANでセール品の登山靴を息子と買い揃えたが、服装やバックなどはどんなものが必要か解からず、ハイキング気分の様相で挑んだ。
なれない山道は、あまり強くない膝にも執拗に負担をかけながら、上を見上げれば見渡せる限界の50メーター先位の斜面が立ちはだかっていた。頂上の手前にある山荘に近づくにつれ、所々両手で岩をつかまりながら登る箇所もあり、ビギナーの私にはわずかながら恐怖も感じた。7合目の鳥居からスタートすること3時間。休み休み後続のペースも考えながら山頂手前の山荘にたどり着き昼食。冷えた缶ビールが売っていたが、疲労と空気の薄さに飲む気にはならなかった。袋に入っていたパンは、パンパンに膨れ上がっていた。
30分程の休憩をした後、山頂を目指した。そこからは急な勾配で針葉樹もなくなり石山を手でつかみながら登っていった。そして1時間ほど登ると目指した山頂にたどり着いた。背中は汗で濡れていたが、山頂の冷たい風が一気に体温を奪い、すぐに長袖を一枚羽織った。5分ほど早く着いていた息子は、一緒に登った小学生の子供たちとふざけ合いをして遊んでいた。子供は本当にタフである。
山頂での感動に浸りたかったが、雨が降り出しすぐ下山の準備をして山を降り始めた。『下りは登りより大変ですよ』とよく言われるものだが、このときほどそれを思い知らされる事になった。急な勾配では、あらゆるところで一旦お尻を付けて足から降りるところもあり、そして時間が経つに連れ膝が笑い出した。今回のメンバーは学生時代競技スキーをやっていた仲間であり、ある意味降りるのが得意なはずだが、登山の下りは訳が違った。小さな石を踏めばズルッと滑り疲労困憊で朦朧としている心をヒヤッとさせた。帰りは2時間かけてゆっくり下山した。
登山を初めてやってみて、まだまだルールなどは良く解らないが、道で出会う人たちに『こんにちは』と挨拶を交わしながら歩いていく。また17年ぶりに再会した仲間たちと会話を楽しみ、頂上を目指すという同じ目的を持った時、忘れ去られていたチームワークが蘇る。その夜、蓼科のバンガローでバーべキューを楽しみ、枕を並べて雑魚寝した。
家族を持っているものや、そうでない者が集まった2日間。新しい趣味が出来たかもしれない。