当時は社宅に住んでいて二人の伸び盛りの男の子を持った4人家族。部屋の中で走り回って遊んでいる子どもたちのそばで、私はご主人と奥様から子どもが小学校へ進学する前に持ち家を建てたいとの『夢』を伺った。
当初は東京の23区内を希望されており予算と環境を考慮しながら、土地探しは始まった。
まずは弊社の不動産担当といくつもの物件を見て回った。紹介する我々としてもクライアントの希望する住環境と間取りや電気・ガス・水道といったライフラインも重要視していくと、情報は絞り困られてしまったがお互いに根気良く探していった。そして、知り合ってからおよそ8ヶ月後、埼玉県川口市の土地にめぐり合った。敷地は約63m2。第2種住居地域で建蔽率、有効容積率はそれぞれ60%、160%でプランニングは充分可能な土地であった。
プランは3LDK。2階部分にLDKを配置した3階建ての木造軸組み工法。中型乗用車1台を置くスペースも当然確保する。リビングルームには畳コーナーをつくり、休日などの家族団欒の時でも多目的に使えるようにした。また、建物の最高高さは9.961mとして小屋裏収納も一部確保できた。なお今回のプランニング及び設計は(株)YC設計監理一級建築士事務所に依頼した。
新規で土地を購入して建てる場合、建替えと大きく異なるのは近隣との良好な関係を形成する事が何よりも重要であるということ。そういった意味では施工者の振る舞いや現場作業中の近隣との関係はクライアントにも多大な影響を与えてしまうのでとてもデリケートだ。作業中の音、ホコリはもちろん、工事作業車の出入り等、誰しもウエルカムとはならないのが常である。この現場でも最初は身構えていた印象もあったが、日に日に協力的にしていただいた。クライアントが挨拶で回られたとき、2人の子ども達の満面の笑顔で『こんにちは!』と挨拶した事が、この度の功労であった。
工事も順調に進み2010年2月に竣工した。そして小学校の入学にも間に合った。今回はクライアントのご好意で家族の写真も掲載しております。また、奥様のご実家が石材関係の仕事をしており玄関周りとアプローチは天然石を貼っている。新たな地で新たなる住処。人生の節目に立ち会えた事に、この仕事への誇りを感じた。
住所 | 埼玉県川口市芝2丁目 |
用途 | 一戸建て専用住宅 |
構造 | 木造在来工法 |
階数 | 3階建て |
外壁 | 窯業系サイディング張り |
建築面積 | 63.11平米 |
延べ面積 | 91.41平米(車庫部分含む) |
設計 | 株式会社YC設計監理1級建築士事務所 臼井 徹 |
施工 | マルイ木材株式会社 |