JR阿佐ヶ谷駅より数分の立地にも関わらず静かな住宅街にその建物は建っている。敷地は正方形に近い約97m2。東側道路に面している。
建物は鉄筋コンクリート造3階建て。さらに塔屋から屋上のルーフバルコニーがある。延べ床面積は169.25m2(車庫スペースを含む)。
クライアントは私と同じ43歳。
こだわりは、趣味で釣る魚を豪快に裁けるキッチンスペースと大きな浴槽のあるバスルーム。そして小便器もある広い便所である。つまり水廻りスペースにはクライアントの夢があった。
設計は私の自宅を設計した有限会社バウムハウス建築研究所の豊川氏に依頼をした。たたき台から始まったプランは何度も修正を繰り返され理想のプランが完成した。外部はコンクリートの打放しの上にダイステンダー(大日精化工業株式会社)を塗布した。カラーは淡い桜色を選んだ。
内装は白を基調としてフローリングはナチュラルブラウン系のカラーで部屋全体が明るい。1階は車庫スペースとスペアルーム。ガラスの玄関扉はキーホルダータイプのワイヤレスキーで操作する。その容姿はまさにデザイナーズマンションのエントランスのようだ。
階段を上がるとLDKと畳スペース。透明ガラスのリビングドアを開けるとキッチンの大きさに驚く。ワイドは4600mm。奥行きは1000mm。
独立したグースネックの水洗金物が双子の様に並び、IHクッキングヒーターと3つ口のガスコンロが並列している。
オールステンレス製でそこはまさに厨房と呼ぶにふさわしい。
大物の魚を釣りあげた夜は、ここの厨房で調理をしてタタミ一畳分ある掘り座卓で家族と仲間たちに振る舞う光景が眼に浮かぶ。この座卓には電気式の床暖房機能があり冬でも足下は暖かい。
LDKの大きさは26.59畳。大きめのソファが仲良く並び60インチの壁掛けのテレビを観るためのスペースは十分とれている。
キッチン横にはビールや食材をスマートに収納できるフードストックルームを完備していることも付け加えておく。
クライアントはさらに上階の3階部分に案内してくれた。そこには念願だった大きな浴室がある。浴槽の有効寸法で1800×1000mm。大人が3人入っても十分な広さを持っている。24時間風呂、ジェットバスの設備もクライアントのこだわりの一つである。採光は2面取ってあり、掃出しウインドーを開ければウリン材で製作したウッドデッキのバルコニーでのんびりできる。
同じ階にはおよそ10畳の広さをもつ主寝室がありキングサイズのウォーターベットを中心に配置してある。
さらに階段は続き屋上のペントハウスにたどり着く。そこはオウナーが独り占めできる東京の夜景を眺める最高の場所だ。
構想からおよそ1年半。クライアントと建築家、そして当社のスタッフがお互いを敬い完成した住宅。『ありがとう!』と頂いたクライアントの言葉に達成感を感じた。