カウンターは、高知県の魚梁瀬杉(やなせ杉)長さ4000*幅850*厚90(mm)の材を2枚使用した。10年前に切り出して自然乾燥させた大変貴重な板である。樹齢は200年以上。
この板のルーツを探るべく高知県まで山を見てきた(コラムに掲載中)。従前のカウンターには段差があったが今回はすっきりとフラットのしたことにより奥行きが広がった。杉特有の香りを出したいところだが、柔らかい木質による傷の保護と油染みを出したくなかったので、アクリル系の保護塗装を6工程行い、さらに仕上げとして水溶性の塗装を塗った。
木地には当初、着色する案もあったので同じ杉の木片にサンプルで着色して店主の大坂氏と打ち合わせを重ねた。しかしながら、せっかくの銘木なので…という意見で一致してクリアー色を採用。極力、魚梁瀬杉本来の色を表現した。
尚この塗装作業は匂いがきつい為、東大和市の弊社作業場で行い、2週間ほど養生して匂いを完全に飛ばした。
カウンター工事はお店が連休になる正月の期間を利用して行われた。
まず従前のカウンターの納まりが不明の為、解体工事も慎重に執り行われた。
取り付けにおいては2枚のカウンターが45度の角度の『トメ』という合わせで接合させた。リハーサルで東大和の作業場ではきれいに接合できていた。しかし、時間とともに木も湿気を吸ったり吐いたりして幅広で厚みのある板は微妙に変化していくものである。
作業を行った工匠の小船由造氏、井上稔氏、そして現場を管理した弊社部長の中田にも緊張が走る瞬間であった。3人がそれぞれ異なる箇所を合わせながら微妙なズレを調整しながら進み、無事に幅広のカウンターはL字型に合わさった。
仕上がりは 長さ3600*幅760*厚75(mm)、長さ2510*幅760*厚75(mm)の2枚。
思わず『おー・・・』っと言葉が出てしまうほどの見事な仕上がりになった。
待合用サイドチェアーは木曽ヒノキですべて製作。一枚板の下の部分は収納スペースとしている。
また、以前コラムで紹介した製作テーブルは吉野杉。
店主大坂氏との構想からまる一年。
大切な人と極上のてんぷらを食べる舞台は一先ず完成した。
港区西新橋2-13-16 多田ビル1F
03-3504-1555
天ぷら逢坂
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